買付余力
いま買付に使える金額。入金額とも、口座の残高とも一致しないことがある。
ひとことで言うと
いま、株を買うのに使える金額のことです。
もう少しくわしく
口座に30万円入っていれば、30万円ぶん買えるはずです。しかし、表示されている買付余力は違う額のことがあります。
理由は3つあります。
1. 受渡がまだ終わっていないものがあります。
株を売っても、現金になるのは2営業日後です。この間、その資金の扱いは項目によって分かれます。
| 買付に使えるか | |
|---|---|
| 株を売った代金 | 多くの場合、使える |
| 出金 | 受渡日まで待つ |
「売れたのに出金できない」と驚くのは、この違いのためです。
2. 手数料の分が差し引かれます。
30万円ちょうどの株を買おうとすると、手数料の分だけ足りません。 買付余力は、手数料を見込んだ額で表示されます。
3. 注文中の分が押さえられています。
指値注文を出した時点で、その金額は押さえられます(拘束されます)。まだ約定していなくても、買付余力からは引かれています。
これを知らないと「まだ買っていないのに余力が減っている」と混乱します。
実際の数字で見る
現金30万円で、株価1,200円の銘柄を買う場合を追います。
| 金額 | |
|---|---|
| 買付余力 | 300,000円 |
| 200株の買い(1,200円) | −240,000円 |
| 手数料(仮に275円) | −275円 |
| 残る買付余力 | 59,725円 |
残りは約6万円です。同じ株をもう100株(12万円)買うことはできません。
ここで、指値注文を出した場合を見ます。
| 買付余力 | |
|---|---|
| 900円で100株の指値を出す | −90,000円(押さえられる) |
| その注文を取り消す | +90,000円(戻る) |
約定していなくても引かれます。 複数の指値を出していると、余力がどんどん減っていきます。
そして、信用取引を使っている場合はさらに複雑になります。
| 中身 | |
|---|---|
| 委託保証金 | 担保として預けた額 |
| 建てられる金額 | 保証金のおよそ3倍程度まで |
| 保証金率が下がると | 新規の建玉ができなくなる |
信用の余力は、持っている建玉の評価損益で毎日変わります。 昨日できた注文が、今日はできないことがあります。
ここに注意
買付余力いっぱいまで使わないでください。
理由は3つあります。
1. 追加で買う機会がなくなります。
余力をすべて使い切ると、下げたときに何もできません。 安くなった銘柄を見ても、買う資金がありません。
現金を持っていることは、選択肢を持っていることです。
2. 信用取引では、追証につながります。
余力ぎりぎりまで建てていると、少し下げただけで保証金率が基準を割ります。 すると追証が発生し、入金するか、建玉を減らすかを迫られます。
そのとき、たいてい相場は下げています。いちばん売りたくないときに売らされます。
3. 手数料と税金の支払いが残ります。
利益が出れば、特定口座(源泉徴収あり)なら自動で税金が引かれます。 その分の現金が必要です。余力を使い切っていると、口座がマイナスになることがあります。
目安として、こう考えてください。
買付余力の7割までにとどめる。
残り3割は、下げたときに使える資金であり、判断の余裕でもあります。
もう2つ、実際的な注意があります。
1. 「概算」の表示に注意してください。
注文画面に出る概算約定代金は、あくまで見込みです。成行注文の場合、実際の約定代金は違う額になります。余力ぎりぎりで成行を出すと、足りなくなることがあります。
2. NISA口座の枠は別に管理されています。
NISAの年間投資枠は、買付余力とは別の制限です。現金があっても、その年の枠を使い切っていればNISAでは買えません。特定口座でなら買えます。
口座ごとに何がどれだけ使えるかを、買う前に確かめてください。
関連する言葉
- 受渡日(うけわたしび) 売買が成立した日ではなく、実際にお金と株が動く日。2営業日後になる。
- 特定口座 証券会社が税金の計算をしてくれる口座。源泉徴収ありを選べば、原則として確定申告が不要になる。
- 信用取引 証券会社からお金や株を借りて売買する仕組み。手持ち以上の金額を動かせるが、損も拡大する。
- 追証(おいしょう) 信用取引で損が膨らみ担保が不足したとき、証券会社から追加の入金を求められること。
- 手数料 売買のたびにかかる費用。回数が増えるほど積み上がり、利益を静かに削る。
- 最終更新
- 2026-09-17