移動平均乖離率
株価が移動平均線からどれだけ離れているかの割合。適正な水準は銘柄ごとに違う。
ひとことで言うと
株価が移動平均線から何%離れているかを表した数字です。
もう少しくわしく
計算は単純です。
乖離率 =(株価 − 移動平均)÷ 移動平均 × 100
25日移動平均線を使うのが一般的です。
| 乖離率 | 意味 |
|---|---|
| +10% | 株価が25日線より10%高い |
| 0% | ちょうど重なっている |
| −10% | 株価が25日線より10%安い |
考え方はこうです。移動平均線は、過去25日の平均の値段です。そこから大きく離れれば、買った人の多くが含み益(または含み損)を抱えている状態になります。
含み益が大きくなれば、利益を確定したい人が増えます。だから離れすぎた状態は続きにくい、と読みます。
実際の数字で見る
25日線が2,000円のときの乖離率を計算します。
| 株価 | 計算 | 乖離率 |
|---|---|---|
| 2,300円 | (2,300−2,000)÷2,000 | +15% |
| 2,100円 | (2,100−2,000)÷2,000 | +5% |
| 2,000円 | (2,000−2,000)÷2,000 | 0% |
| 1,800円 | (1,800−2,000)÷2,000 | −10% |
ここで大事なのは、「離れすぎ」の水準が銘柄ごとに違うことです。
| 1日の値動き | +10%の意味 | |
|---|---|---|
| 電力会社の株 | 0.5%くらい | かなり異常 |
| 一般的な銘柄 | 1〜2% | やや離れている |
| 新興の小型株 | 5%以上 | よくあること |
同じ「+10%」でも、意味はまったく違います。
正しい使い方は、その銘柄の過去の乖離率と比べることです。
この銘柄は、過去1年でどこまで離れたか。
過去に最大+12%までしか離れていない銘柄が+15%になったなら、その銘柄にとっては異常です。過去に+40%まで離れる銘柄の+15%は、まだ途中かもしれません。
ここに注意
乖離が縮むとき、株価が下がるとはかぎりません。
ここを誤解する人が多くいます。「乖離率が+15%だから、株価が下がって縮む」と考えてしまうのです。
縮み方は2通りあります。
| 縮み方 | 起きること |
|---|---|
| 株価が下がる | 分子が小さくなる |
| 株価が動かず、移動平均線が上がってくる | 分母が大きくなる |
後者を時間調整といいます。株価は横ばいのまま、平均線が追いついてきて乖離が消えます。
株価は1円も下がりません。 乖離率だけを見て空売りすると、下がらないまま時間だけが過ぎます。
もう1つ、より大きな問題があります。
強い上昇では、乖離率は高いまま何か月も続きます。
大きく上げ始めた銘柄は、25日線を大きく上回ったまま上げ続けます。「+20%は離れすぎだ」と売ると、+50%まで上げるのを見ることになります。
これはRSIやストキャスティクスと同じ弱点です。行きすぎを測る指標は、本当に行きすぎる相場では全部外れます。
そして、下げの局面ではもっと危険です。
株価が下げ続けると、乖離率はマイナスで大きくなります。「−20%は売られすぎだ」と買った後、さらに下げれば、移動平均線も下がってきます。 すると乖離率は縮みますが、株価は下がったままです。
乖離率が0%に戻ったから底を打った、ということにはなりません。
使いどころをまとめます。
| 相場 | 乖離率 |
|---|---|
| 一定の幅で上下している | 参考になる |
| 強い上昇・下落が続いている | 役に立たない |
そして、単独で売買の理由にはしないでください。 業績を見て「持ちたい」と判断した銘柄について、今日買うか、少し待つかを決める材料にとどめるのが安全です。
この5年の日本株で、確かめてみた
株価が25日線より20%以上安くなったのは4,494回、20%以上高くなったのは7,512回ありました。
20%以上安くなった銘柄が約1か月後に市場全体を上回っていたのは54.9%、20%以上高くなった銘柄では41.2%です。
25日線より20%以上安くなった後
| 比べた時点 | 件数 | 市場全体を上回った割合 | 市場全体との差(中央値) |
|---|---|---|---|
| 約1か月後(20営業日) | 4,395件 | 54.9% | +1.8% |
| 約3か月後(60営業日) | 4,332件 | 50.9% | +0.5% |
25日線より20%以上高くなった後
| 比べた時点 | 件数 | 市場全体を上回った割合 | 市場全体との差(中央値) |
|---|---|---|---|
| 約1か月後(20営業日) | 7,393件 | 41.2% | -3.4% |
| 約3か月後(60営業日) | 7,082件 | 39.0% | -6.6% |
20%以上安くなった後を、年ごとに見ると
約1か月後で比べています。30件に満たない年は出していません。
| 起きた年 | 件数 | 市場全体を上回った割合 |
|---|---|---|
| 2021年 | 182件 | 17.0% |
| 2022年 | 863件 | 48.0% |
| 2023年 | 500件 | 47.6% |
| 2024年 | 1,205件 | 65.4% |
| 2025年 | 965件 | 63.7% |
| 2026年 | 680件 | 47.9% |
- 定義は、このページの本文と同じです。都合のよい期間や条件に変えて数え直すことはしていません。
- 「市場全体」は、同じ日に始めた全銘柄の値動きの中央値です。相場全体が上がった時期なら、何をしても「上がった」になるため、それと比べています。
- 数えたのは、ふだんから売買されている銘柄だけです(前日までの25営業日の売買代金の平均が1億円以上。ETFなどは除く)。
- 途中で上場をやめた会社も、やめるまでの株価は含めています。直近60営業日に起きたものは、まだ結果が出ていないため数えていません。
- 20%以上安くなったのがいちばん多く起きた日は2024年8月5日で、669件(全体の14.9%)でした。同じ日に一斉に起きたものは、件数ほど別々の結果ではありません。
- 20%以上高くなったのがいちばん多く起きた日は2026年2月12日で、56件(全体の0.7%)でした。同じ日に一斉に起きたものは、件数ほど別々の結果ではありません。
- 比べる日に株価が無かったもの(上場廃止や売買停止など)が53件あり、結果が出ないため数えていません。
- 売買の手数料や税金は含めていません。過去5年の結果で、この先のことは分かりません。当サイトは、この結果を銘柄を選ぶ条件には使っていません。
関連する言葉
- 移動平均線 過去一定期間の終値を平均してつないだ線。株価の方向をならして見るために使う。
- エンベロープ 移動平均線の上下に一定の率で線を引いたもの。幅が伸縮しない点がボリンジャーバンドと違う。
- ボリンジャーバンド 移動平均線の上下に、値動きの散らばりに応じた幅の線を引いた指標。幅の伸び縮みを見る。
- RSI(相対力指数) 買われすぎ・売られすぎを0〜100で示す指標。上昇が続くあいだは高いまま張り付く。
- 押し目(おしめ) 上昇が続いている途中で起きる、一時的な下げのこと。買いの機会とされる。
- 最終更新
- 2026-09-17