エンベロープ
移動平均線の上下に一定の率で線を引いたもの。幅が伸縮しない点がボリンジャーバンドと違う。
ひとことで言うと
移動平均線の上下に、決めた割合だけ離して線を引いたものです。
もう少しくわしく
作り方は、言葉のとおりです。
| 線 | 計算 |
|---|---|
| 真ん中 | 20日移動平均線 |
| 上の線 | 20日線 × 1.05 |
| 下の線 | 20日線 × 0.95 |
これだけです。±5%の例ですが、±3%でも±10%でも構いません。自分で決めます。
考え方はこうです。株価は移動平均線から離れすぎると、そのうち戻ってくる。 だから上の線に届いたら離れすぎ、下の線に届いたら離れすぎ、と見ます。
これを乖離といいます。エンベロープは、乖離の大きさを線で見えるようにしたものです。
似たものにボリンジャーバンドがあります。見た目はよく似ていますが、中身はまったく違います。
| エンベロープ | ボリンジャーバンド | |
|---|---|---|
| 幅の決め方 | 自分で決めた率 | 値動きの荒さ(標準偏差) |
| 値動きが荒いとき | 幅は変わらない | 幅が広がる |
| 値動きが静かなとき | 幅は変わらない | 幅が狭まる |
ここが決定的な違いです。エンベロープの幅は、何があっても変わりません。
実際の数字で見る
20日線が2,000円のときの、上下の線を計算します。
| 率 | 上の線 | 下の線 |
|---|---|---|
| ±3% | 2,060円 | 1,940円 |
| ±5% | 2,100円 | 1,900円 |
| ±10% | 2,200円 | 1,800円 |
株価が2,100円になれば、+5%の線に到達です。
ここで、銘柄によって適切な率が違うことを見ます。
| おだやかな銘柄 | 値動きの荒い銘柄 | |
|---|---|---|
| 1日の値動き | 1%くらい | 5%くらい |
| ±5%の線に届くまで | 数週間 | 1日で届く |
同じ±5%が、まったく違う意味になります。
おだやかな銘柄なら「かなり離れた」を意味します。荒い銘柄なら「いつものこと」です。
どの率が正しいかは、銘柄ごとに違います。 そして、決める方法はありません。過去のチャートを見て、よく当たるように合わせるしかありません。
ここに注意
「過去によく当たる率」を探す行為に、落とし穴があります。
チャートを見ながら率を調整すれば、過去にぴったり当てはまる率は必ず見つかります。±4.3%かもしれませんし、±7.8%かもしれません。
しかし、それは過去に合わせただけです。将来も同じ率が当てはまる保証は、どこにもありません。
これをカーブフィッティング(曲線あてはめ)といいます。指標を使うときに、最も陥りやすい誤りです。
もう1つ、より実際的な問題があります。
強い上昇が始まると、株価は上の線に張りついたまま上がり続けます。
「+5%に届いたから離れすぎだ」と売ると、そこから+20%まで上げることがあります。上の線に届くのは、上昇が強いときだからこそです。
下げも同じです。「−5%に届いたから買う」と、−30%まで下げる途中で買うことになります。
この性質は、RSIやストキャスティクスにも共通します。流れが強いとき、行きすぎを測る指標はすべて外れます。
では、どう使うか。使える場面はかぎられています。
| 相場の状態 | エンベロープ |
|---|---|
| 横ばいで上下している | 役に立つことがある |
| 強い上昇・下落が続いている | 役に立たない |
つまり、使う前に「今は横ばいか」を判断する必要があります。 そしてその判断は、エンベロープでは分かりません。
指標が1つあれば売買できる、ということはありません。その指標が効かない場面を先に知っておくことが、使う条件になります。
関連する言葉
- ボリンジャーバンド 移動平均線の上下に、値動きの散らばりに応じた幅の線を引いた指標。幅の伸び縮みを見る。
- 移動平均線 過去一定期間の終値を平均してつないだ線。株価の方向をならして見るために使う。
- 支持線と抵抗線 何度も反発している下値と、跳ね返されている上値に引く線。多くの人が意識するため機能する。
- トレンドライン 安値どうし、高値どうしを結んだ斜めの線。どの2点を選ぶかで傾きが変わる。
- RSI(相対力指数) 買われすぎ・売られすぎを0〜100で示す指標。上昇が続くあいだは高いまま張り付く。
- 最終更新
- 2026-09-17