IRと決算説明会
会社が投資家に向けて情報を出す活動。個人でも見られる資料が多い。
ひとことで言うと
会社が投資家に向けて自社の状況を説明する活動のことです。
もう少しくわしく
IRは Investor Relations の略です。日本語では「投資家向け広報」と訳されます。
広報(PR)が世間全般に向けたものなら、IRは投資家に向けたものです。
上場企業のサイトには、必ずIR情報のページがあります。そこに置かれているものを見ます。
| 資料 | 中身 | 出る時期 |
|---|---|---|
| 決算短信 | 業績の速報 | 決算後45日以内が目安 |
| 決算説明資料 | 短信を図表で説明したもの | 決算発表の前後 |
| 有価証券報告書 | 詳しい報告書(監査済み) | 年1回 |
| 統合報告書 | 経営の考え方をまとめたもの | 年1回 |
| 株主通信 | 株主向けの分かりやすい冊子 | 年1〜2回 |
| 適時開示 | 重要な出来事の発表 | 随時 |
そして、決算説明会が開かれます。
もともとは機関投資家やアナリスト向けでしたが、近年は変わってきています。
| 昔 | 近年 |
|---|---|
| 会場に集まる | 動画で配信される |
| 機関投資家だけ | 誰でも見られることが多い |
| 資料は非公開 | サイトに掲載される |
個人投資家でも、同じ資料と説明を見られます。
実際の数字で見る
どの資料に何が書いてあるか、使い分けを整理します。
| 知りたいこと | 見る資料 |
|---|---|
| 今期の業績はどうだったか | 決算短信(1ページ目) |
| なぜそうなったか | 決算説明資料 |
| 来期の見通し | 決算短信+説明資料 |
| 事業ごとの内訳 | セグメント情報(短信の後半) |
| 設備投資や研究開発 | 有価証券報告書 |
| 経営者が何を考えているか | 統合報告書・説明会の動画 |
とくに決算説明資料が、個人には使いやすいものです。
決算短信は数字の羅列ですが、説明資料には図表と説明があります。専門知識がなくても読めるように作られています。
| 分量の目安 | |
|---|---|
| 決算短信 | 20〜40ページ |
| 決算説明資料 | 20〜50ページ(図表中心) |
| 有価証券報告書 | 100ページ以上 |
はじめて調べる会社なら、決算説明資料から読むのが効率的です。
ここに注意
IR資料は、会社が自分で作っています。
ここを忘れないでください。監査を受けているのは有価証券報告書だけです。説明資料や統合報告書は、会社が自由に作れます。
当然、良く見せたい動機が働きます。
| よくある見せ方 | 読み方 |
|---|---|
| 都合のよい期間のグラフ | もっと長い期間で見る |
| 調整後利益を強調 | 調整前はいくらか |
| 伸びている事業だけ大きく扱う | 全体に占める割合は |
| 縦軸が途中から始まるグラフ | 実際の変化幅は小さいことがある |
最後のものは、資料でよく見かけます。売上のグラフの縦軸が0円からではなく900億円から始まっていれば、わずかな伸びが急成長に見えます。
確かめる方法は簡単です。決算短信の数字に戻ってください。 短信には調整のない生の数字が載っています。
もう3つ、実際的な話を書きます。
1. 質疑応答に価値があります。
説明会の資料だけでなく、質疑応答の記録(書き起こし)を出している会社があります。
ここには、アナリストが疑問に思った点と、会社の答え方が出ます。答えにくそうな質問への対応を見れば、その会社の姿勢が分かります。
2. 過去の資料と並べてください。
去年の説明資料で「来期は○○を進める」と言っていたことが、今年どうなったか。
| 確認 | 分かること |
|---|---|
| 言ったことを実行したか | 経営の実行力 |
| 目標を達成したか | 計画の精度 |
| 触れなくなった話題はないか | うまくいかなかった可能性 |
3つ目が特に効きます。去年あれだけ強調していた新規事業が、今年の資料に一言も出てこないなら、何かあったということです。
3. 個人投資家向けの説明会もあります。
証券取引所や証券会社が、個人向けの会社説明会を開いていることがあります。無料のものが多く、質問もできます。
日本取引所グループのサイトなどで案内されています。
最後に、いちばん大事なことを書いておきます。
これらの資料は、すべて無料で、誰でも読めます。
有料の情報を買う前に、まず会社が自分で出している資料を読んでください。 決算短信も有価証券報告書も、金融庁のEDINETや取引所のサイトで公開されています。
誰かが有料で教えている「情報」の大半は、ここに書いてあります。
関連する言葉
- 決算短信 会社が3か月ごとに出す成績表。株価が最も大きく動くきっかけになる資料。
- 適時開示 会社が重要な情報をその都度公表する制度。株価に影響する発表は、必ずここを通る。
- 有価証券報告書 年に一度、監査を受けて提出される会社の正式な報告書。数字の信頼性が最も高い資料。
- 上方修正・下方修正 会社が期の途中で業績見通しを変えること。決算発表そのものより株価が動くことがある。
- スクリーニング(銘柄の絞り込み) 条件を決めて銘柄を絞る作業。条件を増やすほど「過去に良かった株」に寄っていく。
- 最終更新
- 2026-09-17