靴磨きの少年
投資と縁のない人まで株の話をし始めたら天井が近い、という逸話。
ひとことで言うと
普段は株に関心のない人まで株の話をし始めたら、相場の天井が近いという言い伝えです。
もう少しくわしく
1929年、アメリカの大恐慌の直前。実業家ジョセフ・ケネディが靴を磨いてもらっていたとき、靴磨きの少年が株の銘柄を勧めてきたそうです。
ケネディはこう考えました。
靴磨きの少年まで株を買っているなら、もう買う人は残っていない。
そして持ち株をすべて売り、暴落を免れたと伝えられています。
この逸話が示しているのは、株価は買う人がいるから上がるという当たり前の事実です。
- 投資家が買う → 上がる
- 一般の人も買い始める → さらに上がる
- 普段まったく関心のない人まで買う → もう買う人がいない
- 買いが尽きる → 下がる
株価を押し上げる燃料は「まだ買っていない人」です。全員が買ってしまえば、燃料が尽きます。
実際の数字で見る
この逸話を裏づける形として、次のような兆候が語られます。
| 兆候 | 意味 |
|---|---|
| テレビのニュースが株高を毎日報じる | 関心が一般層に届いた |
| 書店に投資の本が平積みされる | 参入を考える人が増えた |
| 証券口座の開設数が急増する | 新規の買い手が入り切った |
| 投資に縁のなかった知人が銘柄を聞いてくる | 最終段階とされる |
日本では1989年末、日経平均が38,915円という史上最高値をつけた頃、まさにこの状態でした。その後株価が同じ水準に戻るまで34年かかっています。
34年という数字を覚えておいてください。「いつかは戻る」という言葉が、どれだけの時間を意味しうるかを示しています。
ここに注意
この逸話は、売買の判断には使えません。「もうすぐ天井」と感じてから、さらに1年上がることがあります。
ここが最も重要な点です。
「靴磨きの少年」が現れたと感じたとき、そこが天井とは限りません。熱狂は、始まってからしばらく続きます。 その間に売ってしまえば、大きな上昇を逃します。
実際、1929年のケネディの判断が正しかったことは、後から分かったことです。同じ判断をして、1年早く売って後悔した人もいたはずです。
したがって、この逸話の正しい使い方は次のとおりです。
売買の合図ではなく、自分の行動を点検する材料として使う。
- 自分はなぜこの銘柄を買おうとしているのか
- 理由が「みんなが買っているから」「話題だから」なら、それは危険信号
- 会社の中身を調べていない状態で買おうとしていないか
つまり、外を見るのではなく自分を見るための言葉です。
もう一つ、この逸話には現代版があります。
SNSやショート動画で、投資の話が急増したとき。
仕組みは同じです。関心が一般層に届いたということは、参入する人が増えているということです。ただしこれも、天井の時期を教えてはくれません。
当サイトの姿勢を書いておきます。
当サイトは、相場全体が高いか安いかを判断しません。 個別の会社について、公開された財務データから見た事実を示すだけです。
「今は買い時か」という問いに答えられる人は、誰もいません。答えられると言う人がいたら、その根拠を確かめてください。
関連する言葉
- イナゴ 話題になった銘柄に短時間で群がり、急騰させてすぐ去っていく投資家たちのこと。
- 提灯(ちょうちん) 誰かの買いに乗って、後から追いかけて買うこと。灯りが消えると暗闇に取り残される。
- 高値掴み(たかねづかみ) 株価が一番高いところで買ってしまい、その後の下落に巻き込まれること。
- 行ってこい 大きく上がった後、結局もとの値段まで戻ること。何も起きなかったのと同じ結果になる。
- 最終更新
- 2026-09-16