議決権行使書
総会に行かずに投票できる用紙。出さないと、会社の提案がそのまま通りやすくなる。
ひとことで言うと
株主総会に行かなくても投票できる、会社から送られてくる用紙です。
もう少しくわしく
株主総会は、平日の午前中に開かれることがほとんどです。行ける人は限られます。
そこで、行かずに投票する方法が用意されています。それが議決権行使書です。
決算期の2〜3か月後、招集通知と一緒に届きます。
| 同封されているもの | 中身 |
|---|---|
| 招集通知 | いつ・どこで開くか |
| 事業報告・計算書類 | その1年の報告 |
| 株主総会参考書類 | 議案の内容と、会社の説明 |
| 議決権行使書 | 投票用紙 |
投票の方法は、いまは3つあります。
| 方法 | やり方 |
|---|---|
| 書面(はがき) | 賛否に印をつけて返送する |
| インターネット | 用紙のコードを使い、専用サイトで投票 |
| 総会に出席する | 当日、会場で |
どれか1つです。重複した場合の扱いは会社ごとに決められており、参考書類に書かれています。
実際の数字で見る
議案は、たいてい次のようなものが並びます。
| 議案 | 中身 |
|---|---|
| 剰余金処分の件 | 配当をいくら出すか |
| 取締役◯名選任の件 | 経営陣を選ぶ |
| 監査役選任の件 | 監査役を選ぶ |
| 会計監査人選任の件 | 決算書を検める人を選ぶ |
| 定款一部変更の件 | 会社の基本ルールを変える |
| 役員報酬額改定の件 | 役員の報酬の枠を決める |
賛成・反対は、議案ごとに選べます。 「1号議案は賛成、2号議案は反対」とできます。
ここで、出さなかった場合に何が起きるかを見ます。
100万株を発行している会社で、議決権のある株が100万個あるとします。
| 株数 | |
|---|---|
| 発行済株式 | 100万株 |
| 議決権を行使した株主 | 60万株 |
| 行使しなかった株主 | 40万株 |
決議に必要な賛成は、行使された議決権のうちの過半数が基準になります(議案の種類によって要件は異なります)。
| 計算 | |
|---|---|
| 行使された議決権 | 60万個 |
| 可決に必要な賛成 | 30万個超 |
全体の100万個のうち、30万個ちょっとで議案が通ります。 全体の3割です。
出さない人が多いほど、少ない賛成で議案が通ります。
ここに注意
白紙で出すと、会社の提案に賛成したものとして扱われることがあります。
これを知らない人が多くいます。
議決権行使書には、たいてい次のような但し書きがあります。
賛否の記載がない場合は、会社提案に賛成、株主提案に反対の意思表示があったものとして取り扱います。
つまり、印をつけずに返送すると、会社の言うとおりに投票したことになります。
| やったこと | 扱われ方 |
|---|---|
| 賛否に印をつけて返送 | そのとおり |
| 白紙で返送 | 会社提案に賛成(多くの場合) |
| 出さない | そもそも数えられない |
「よく分からないから白紙で出そう」は、「会社に賛成」と言っているのと同じです。
読んでから出すか、出さないかを選んでください。文言は会社ごとに違うため、必ず用紙の注意書きを読んでください。
もう4つ、知っておいてください。
1. 議決権は、基準日の株主に与えられます。
権利確定日に株主名簿に載っている人が対象です。その後に買った人には届きません。逆に、その後に売った人にも届きます。
いま持っていなくても、基準日に持っていれば投票できます。
2. 単元未満株には議決権がありません。
1単元(多くは100株)につき1個が原則です。50株しか持っていなければ、議決権はありません。行使書も届きません。
3. 少しでも読んでおくべき議案があります。
すべてを読む必要はありませんが、次の2つは見る価値があります。
| 議案 | なぜ見るか |
|---|---|
| 剰余金処分(配当) | 自分が受け取る額そのもの |
| 取締役選任 | 経営陣が誰か。何年目か |
取締役選任の議案には、候補者の略歴と在任年数が書かれています。何年も同じ人が続いているか、社外取締役が何人いるかが分かります。
4. 電子提供が原則になりました。
上場企業では、株主総会資料をウェブサイトに掲載する方法が原則になっています。紙の冊子がすべて届くとはかぎりません。
書面での交付を求めることもできます。送られてきた案内に、掲載先のURLが書かれています。
そのうえで、実際の向き合い方を書いておきます。
1銘柄あたり5分でよいので、配当と取締役の議案だけは見てください。
すべての議案を吟味する必要はありません。自分に直接関わる部分だけでも十分です。
| かける時間 | 見るもの |
|---|---|
| 1分 | 配当の金額 |
| 2分 | 取締役の顔ぶれと在任年数 |
| 2分 | 反対を推奨する意見が出ていないか |
議決権は、株主にしかない権利です。使わなければ、その分だけ会社の提案が通りやすくなります。
1人の票で結果が変わることはまずありません。しかし、行使率が低いこと自体が、経営を緩めるという指摘は昔からあります。
出す手間は、はがき1枚かインターネットで数分です。
関連する言葉
- 議決権 株主総会で投票できる権利。原則として1単元につき1個で、単元未満株には付かない。
- 株主総会 会社の重要事項を株主が決める会議。1株でも持っていれば議決権が得られる。
- 権利確定日と権利落ち日 配当や優待をもらえる株主が決まる日と、その翌営業日に株価が下がりやすい現象。
- コーポレートガバナンス・コード 上場企業が守るべき行動原則。法律ではなく、従うか説明するかを選ぶ形をとる。
- 単元株(たんげんかぶ) 株を売買するときの最小単位。日本では原則100株。
- 最終更新
- 2026-09-18