利食い千人力
利益を確定させれば、それは千人分の力に匹敵するという格言。含み益は利益ではない。
ひとことで言うと
利益を確定させることは、千人の力を得たに等しいという古い格言です。
もう少しくわしく
「利食い」とは、含み益の出ている株を売って利益を確定させることです。利確と同じ意味です。
「千人力」は、千人分の力という意味の古い言い方です。
この格言が言っているのは、次の一点です。
売るまで、利益は存在しません。
画面に「+50万円」と表示されていても、それは含み益です。翌日には+20万円になっているかもしれず、来月にはマイナスかもしれません。
売って現金になった瞬間、初めてそれは自分のものになります。もう誰にも奪われません。
だから「千人力」なのです。
実際の数字で見る
同じ銘柄を持っていた2人を比べます。
| Aさん | Bさん | |
|---|---|---|
| 買値 | 1,000円 | 1,000円 |
| 最高値 | 1,800円 | 1,800円 |
| 行動 | 1,650円で売った | 2,000円を待った |
| その後の株価 | — | 1,800円 → 980円 |
| 結果 | +65%を確定 | -2% |
Bさんは一時+80%の含み益を持っていました。しかし確定させなかったため、すべて消えました。
Aさんは天井の1,800円では売れていません。150円分は取り逃しています。 しかし65%は自分のものになりました。
これが「頭と尻尾はくれてやれ」と同じ考え方です。
ここに注意
この格言は「すぐ売れ」という意味ではありません。ここを取り違えると、逆に損をします。
「利食い千人力」を根拠に、+5%ですぐ売る人がいます。これは格言の誤用です。
なぜなら、投資の成績は次の式で決まるためです。
勝ちの大きさ × 勝つ回数 − 負けの大きさ × 負ける回数
小さな利益を何度も取り、大きな損を1回抱えれば、合計は赤字になります。
| 回数 | 1回あたり | 合計 | |
|---|---|---|---|
| 勝ち | 8回 | +4万円 | +32万円 |
| 負け | 2回 | -25万円 | -50万円 |
| 合計 | -18万円 |
8割勝っているのに、18万円の負けです。
つまり、確定させるべきなのは利益だけではありません。損失も同じです。
この格言が本当に言いたいのは、次のことです。
判断を先送りにするな。
含み益を確定させないのは、「もっと上がるかも」という願望の先送りです。含み損を確定させないのは、「戻るかも」という願望の先送りです。どちらも同じ病です。
では、いつ売るのか。買う前に決めた水準に達したときです。
- 目標の株価に達した → 売る
- 買った理由が崩れた → 売る
- あらかじめ決めた損失の限度に達した → 売る
この3つ以外に、売る理由はありません。「なんとなく不安だから」「みんなが売っているから」は理由になりません。
買う前に決めておけば、売るときに悩む必要がなくなります。 それが本当の「千人力」です。
関連する言葉
- 利確(利益確定) 含み益が出ている株を売って、利益を現実のものにすること。売るまで利益は存在しない。
- 握力(あくりょく) 株価が動いても売らずに持ち続ける精神力のこと。「握力が強い」などと使う。
- 頭と尻尾はくれてやれ 最安値と最高値を狙わず、真ん中だけ取れば十分という戒め。欲張ると両方逃す。
- 行ってこい 大きく上がった後、結局もとの値段まで戻ること。何も起きなかったのと同じ結果になる。
- 最終更新
- 2026-09-16