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株を学ぶ / 制度・仕組み

繰上償還

投資信託が期限前に終了すること。含み損のまま強制的に現金化される。

ひとことで言うと

投資信託が、予定より早く運用をやめて終わることです。

もう少しくわしく

投資信託には信託期間があります。「無期限」と書かれているものもあれば、「2040年まで」と決まっているものもあります。

繰上償還とは、その期限を待たずに終了することです。

なぜ終わるのか。運用を続けられなくなるためです。

主な理由 中身
規模が小さくなりすぎた 解約が続き、残高が減った
運用方針を続けられない 投資先の市場に問題が生じた
運用会社の判断 シリーズの整理など

いちばん多いのは1つ目です。

投資信託は、集めたお金をまとめて運用します。規模が小さくなると、効率が悪くなります。

影響
規模が大きい 費用を大勢で分担できる
規模が小さい 1人あたりの負担が重くなる
さらに小さい 運用そのものが難しくなる

条件は、約款や目論見書に書かれています。

「受益権の総口数が30億口を下回った場合、繰上償還することがある」

こうした条件が、目論見書の後ろのほうに記載されています。

実際の数字で見る

繰上償還されると、何が起きるか。

順番 出来事
1 繰上償還の決定が公表される
2 一定の期間(数週間〜数か月)が置かれる
3 償還日に、その時点の基準価額で現金化される
4 口座に現金が入る

問題は3番目です。

含み損を抱えていても、その時点で確定します。

基準価額8,000円のときに繰上償還されれば、8,000円で終わりです。 「待っていれば戻るかもしれない」という選択肢はありません。

金額
買ったときの基準価額 10,000円
償還時の基準価額 8,000円
100万円分持っていた場合 80万円で確定

自分の判断ではなく、運用会社の都合で損失が確定します。

そして、NISAで持っていた場合はさらに厳しくなります。

結果
償還で現金化 使ったNISAの枠は戻らない
同じ商品を買い直す できない(終了しているため)
別の商品を買う 新たに枠を使う

その年の枠を使い切っていれば、翌年まで買い直せません。

ここに注意

純資産総額を見れば、事前に気づけます。

繰上償還は突然決まるわけではありません。その前に、純資産総額が減り続けています。

見るもの どこで見るか
純資産総額の推移 月次レポート・運用報告書
繰上償還の条件 目論見書

目論見書に「30億口を下回った場合」と書いてあるなら、いまの口数がいくつかを確認できます。近づいていれば警戒できます。

避けるための目安を書きます。

確かめること 目安
純資産総額 100億円以上あれば、まず心配ない
推移 増えているか、少なくとも横ばいか
設定からの年数 新しすぎる商品は実績が読めない

30億円を下回って減り続けている商品は、注意したほうがよいでしょう。

もう3つ、知っておいてください。

1. 通知は来ます。

繰上償還が決まれば、運用会社から公表され、証券会社からも通知されます。気づかないうちに終わっていた、ということは通常ありません。

ただし、通知が来た時点で決定済みです。止めることはできません。

2. 償還時に税金がかかります。

利益が出ていれば、その時点で課税されます。売るつもりがなくても、税を払うタイミングが来てしまいます。

長く持って税を繰り延べる、という利点が失われます。

3. 似た商品に乗り換えることになります。

償還されたお金で、別の同じような商品を買い直すことになります。その時点の値段で買い直すので、タイミングは選べません。

そして、いちばん実用的な助言を書いておきます。

規模の大きい、定番の商品を選んでください。

同じ指数に連動する商品なら、信託報酬が同じくらいなら、純資産総額の大きいほうを選ぶ。これで繰上償還の心配はほぼなくなります。

信託報酬がわずかに安いだけの小さな商品を選んで繰上償還されるより、定番の商品を長く持てるほうが結果は良くなります。

関連する言葉

  • 投資信託 多くの人から集めた資金をまとめて運用する商品。少額で分散できるが、持っている間ずっと費用がかかる。
  • 基準価額 投資信託の値段。株価と違い1日1回しか決まらず、注文時には分からない。
  • 目論見書の読み方 投資信託を買う前に渡される説明書。見る順番を決めれば数分で判断できる。
  • 信託報酬 投資信託を持っている間、毎日引かれ続ける費用。払った実感がないまま積み上がる。
  • NISA(ニーサ) 投資で得た利益に税金がかからない制度。通常は約20%が引かれる。
最終更新
2026-09-18