円安・円高と業績
為替が動くだけで、海外売上の円換算額が変わる。数量が同じでも売上高は増減する。
ひとことで言うと
為替が動くだけで、海外で売った分の円換算額が変わります。売った数量が同じでもです。
もう少しくわしく
日本企業の決算は円で作られます。しかし海外での売上はドルやユーロです。決算のたびに円に直します。
このとき使うのが、その期間の平均為替レートです。
| 1ドル=120円 | 1ドル=150円 | |
|---|---|---|
| 海外売上 | 4億ドル | 4億ドル(同じ) |
| 円換算 | 480億円 | 600億円 |
売った数量はまったく同じなのに、円換算では120億円増えました。
これが「円安で増収増益」と報じられる仕組みです。
実際の数字で見る
為替の影響は、売上だけでなく利益にも効きます。
海外で1台100ドルの商品を売り、原価が日本で8,000円かかるとします。
| 1ドル=120円 | 1ドル=150円 | |
|---|---|---|
| 売値(円換算) | 12,000円 | 15,000円 |
| 原価 | -8,000円 | -8,000円 |
| 利益 | 4,000円 | 7,000円 |
売値だけが円安で膨らみ、利益は1.75倍になりました。
だから輸出企業は円安で利益が伸びます。利益率が低い会社ほど、この影響は大きくなります。
逆に、輸入に頼る会社は円安で苦しくなります。 仕入れ値が上がるのに、売値をすぐには上げられないためです。
ここに注意
「増収増益」の中身が、為替だけということがあります。
決算で「営業利益が前年比25%増」と発表されても、そのうち20%分が円安によるものなら、実力で増えたのは5%です。
多くの会社は、決算説明資料に為替の影響額を分けて記載しています。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 前期の営業利益 | 400億円 |
| 数量・単価の増加 | +20億円 |
| 為替の影響 | +80億円 |
| 今期の営業利益 | 500億円 |
この会社の実力による増加は20億円です。残りの80億円は、為替が戻れば消えます。
そして重要な点があります。
為替は、いずれ逆に動きます。
円安で膨らんだ利益は、円高になれば同じだけ縮みます。円安の年の利益を基準にPERを計算すると、割安に見えます。 しかしそれは、その為替水準が続く前提です。
確認すべきことは2つです。
1. 海外売上の比率。
セグメント情報の地域別で分かります。海外比率が高いほど、為替の影響を受けます。
2. 会社が置いている前提レート。
決算短信の業績予想には、「想定為替レート」が明記されています。
| 想定 | 実際 | |
|---|---|---|
| 1ドル | 140円 | 155円 |
実際が想定より円安なら、上方修正の可能性が高まります。 逆なら下方修正です。
これは、比較的読みやすい情報です。
最後に、当サイトの扱いについて。
当サイトは、為替の影響を分離した数字を作っていません。 何を為替の影響とするかの計算には、会社ごとの前提が入るためです。
読者ができることは、海外売上の比率を確認し、為替が大きく動いた期の数字は割り引いて見ることです。
関連する言葉
- 最終更新
- 2026-09-16