iDeCo(イデコ)
掛金が所得控除になる年金制度。税の恩恵は大きいが、原則60歳まで引き出せない。
ひとことで言うと
自分で積み立てる年金で、掛けたお金の分だけ税金が安くなる仕組みです。
もう少しくわしく
正式には個人型確定拠出年金といいます。
NISAとよく並べて語られますが、目的がまったく違います。
| NISA | iDeCo | |
|---|---|---|
| 何のための制度か | 投資の非課税 | 老後の年金 |
| 引き出し | いつでもできる | 原則60歳まで不可 |
| 掛金の所得控除 | なし | あり(全額) |
| 運用益 | 非課税 | 非課税 |
| 受け取るとき | 税金なし | 控除はあるが課税対象 |
いちばんの特徴は、掛金が全額所得控除になることです。
これは「運用がうまくいったら得をする」という話ではありません。掛けた時点で、その年の税金が減ります。 運用の結果とは無関係です。
そして、いちばんの制約もはっきりしています。
原則として60歳まで引き出せません。
途中で家を買いたくなっても、病気になっても、原則として出せません。これは欠点であると同時に、制度の目的そのものです。老後のための年金だからです。
実際の数字で見る
所得控除の効果を計算します。
年収から各種控除を引いた課税所得が400万円の人が、月2万円(年24万円)を掛けたとします。
課税所得400万円なら、所得税率は20%、住民税は10%です。
| 計算 | |
|---|---|
| 年間の掛金 | 240,000円 |
| 所得税の軽減(20%) | 48,000円 |
| 住民税の軽減(10%) | 24,000円 |
| 年間で軽減される税金 | 72,000円 |
掛金の30%が戻ってきます。
これは運用の成果ではありません。掛けただけで確定します。
20年続けたとします。
| 金額 | |
|---|---|
| 掛金の合計 | 480万円 |
| 軽減された税金の合計 | 144万円 |
運用益がゼロだったとしても、144万円分の得をしています。
ただし、税率は人によって違います。
| 課税所得 | 所得税率 | 年24万円の掛金で軽減される税 |
|---|---|---|
| 195万円以下 | 5% | 36,000円 |
| 330万円超〜695万円 | 20% | 72,000円 |
| 900万円超〜1,800万円 | 33% | 103,200円 |
所得が高い人ほど恩恵が大きい制度です。逆に、所得税を払っていない人には、この恩恵がありません。
ここに注意
受け取るときには課税されます。ここが見落とされがちです。
「非課税」と説明されることがありますが、正確ではありません。
| 段階 | 課税 |
|---|---|
| 掛けるとき | 所得控除(税が減る) |
| 運用中 | 非課税 |
| 受け取るとき | 課税対象(控除はある) |
受け取り方によって扱いが変わります。
| 受け取り方 | 使える控除 |
|---|---|
| 一時金(まとめて) | 退職所得控除 |
| 年金(分割) | 公的年金等控除 |
控除があるので、多くの場合は税負担が小さくなります。しかし、会社の退職金と同じ年に受け取ると、退職所得控除の枠を分け合うことになり、思ったより税金がかかることがあります。
もう3つ、実際的な注意があります。
1. 手数料がかかります。
加入時と、毎月の口座管理手数料がかかります。金融機関によって差があります。 掛金が少ないほど、手数料の比率は重くなります。
2. 商品は自分で選びます。
iDeCoは箱であって、中身ではありません。元本確保型(定期預金など)と投資信託から選びます。投資信託を選んだ場合、信託報酬もかかります。
元本確保型だけを選ぶと、ほとんど増えません。それでも所得控除の分だけは得なので、意味がないわけではありません。
3. 掛金の上限と加入できる条件は、改正が続いています。
会社員か自営業か、企業年金があるかで上限が違います。そして制度の見直しが繰り返されています。 本記事に具体的な上限額を書かないのは、そのためです。
必ず厚生労働省または金融機関の最新の案内で確認してください。
最後に、NISAとの使い分けです。
| こういう場合 | 向いているもの |
|---|---|
| 60歳まで使わないと決めている | iDeCo(所得控除がある分、有利) |
| 途中で使うかもしれない | NISA(いつでも引き出せる) |
| 所得税を払っていない | NISA(iDeCoの主な利点が効かない) |
どちらか一方ではなく、両方使うこともできます。 ただし、引き出せないお金を増やしすぎないことです。生活が苦しくなっても、iDeCoは助けてくれません。
関連する言葉
- NISA(ニーサ) 投資で得た利益に税金がかからない制度。通常は約20%が引かれる。
- 投資信託 多くの人から集めた資金をまとめて運用する商品。少額で分散できるが、持っている間ずっと費用がかかる。
- 信託報酬 投資信託を持っている間、毎日引かれ続ける費用。払った実感がないまま積み上がる。
- 確定申告 1年分の所得と税金を自分で申告する手続き。株では、やったほうが得になる場合がある。
- アセットアロケーション 株・債券・現金などへの配分。銘柄選びより先に決めるべきもの。
- 最終更新
- 2026-09-17