DOE(株主資本配当率)
純資産に対する配当の割合。利益の変動に左右されにくく、採用する会社が増えている。
ひとことで言うと
会社が持っている株主のお金に対して、どれだけ配当を出しているかの割合です。
もう少しくわしく
計算はこうです。
DOE = 年間の配当総額 ÷ 株主資本 × 100
よく似た指標に配当性向があります。分母が違います。
| 指標 | 分母 | 性質 |
|---|---|---|
| 配当性向 | その年の利益 | 利益が減ると配当も減る |
| DOE | 株主資本(純資産) | 利益が減っても分母は変わらない |
ここが決定的な違いです。
利益は年によって大きく変わります。半分になることも、倍になることもあります。
しかし株主資本は急には変わりません。 何十年もかけて積み上げてきたものだからです。
だから、DOEを基準にすると配当が安定します。
そして、この2つには関係があります。
DOE = 配当性向 × ROE
なぜこうなるか。分解すれば分かります。
| 式 | |
|---|---|
| 配当性向 | 配当 ÷ 利益 |
| ROE | 利益 ÷ 株主資本 |
| 掛けると | 配当 ÷ 株主資本 = DOE |
利益が約分されて消えます。
実際の数字で見る
まったく違う3社が、同じDOEになる例を見ます。
| 配当性向 | ROE | DOE | |
|---|---|---|---|
| A社 | 30% | 10% | 3.0% |
| B社 | 50% | 6% | 3.0% |
| C社 | 25% | 12% | 3.0% |
どれも3.0%です。
A社は稼ぐ力があり、控えめに配っています。B社はあまり稼げないので、多めに配っています。C社は最も稼ぐ力があり、その分を事業に回しています。
性質はまるで違うのに、DOEだけ見ると同じに見えます。
次に、利益が半減した年を見ます。株主資本1,000億円、利益100億円の会社です。
| 通常の年 | 利益が半減した年 | |
|---|---|---|
| 利益 | 100億円 | 50億円 |
| 配当性向30%で決めている場合 | 30億円 | 15億円(半減) |
| DOE3%で決めている場合 | 30億円 | 30億円(変わらない) |
配当性向で決めていると、配当も半分になります。 DOEで決めていれば、変わりません。
これが、DOEを採用する会社が増えている理由です。株主にとっては、配当の見通しが立てやすくなります。
ここに注意
配当が安定することと、会社が健全であることは別です。
DOEで配当を決めている会社が減益になったとき、何が起きるか。
| 金額 | |
|---|---|
| その年の利益 | 50億円 |
| DOE3%で決めた配当 | 30億円 |
| 配当性向に直すと | 60% |
利益の6割を配っていることになります。
さらに悪化すると、こうなります。
| 金額 | |
|---|---|
| その年の利益 | 20億円 |
| DOEで決めた配当 | 30億円 |
| 配当性向 | 150% |
利益より多く配っています。 これはタコ足配当です。株主資本を取り崩して配っている状態で、長くは続きません。
したがって、DOEを掲げている会社を見るときは、必ず配当性向も一緒に確認してください。
| 確認 | 見方 |
|---|---|
| DOEが安定している | 方針としては良い |
| その年の配当性向が100%を超えた | 無理をしている |
| 営業CFが配当総額を下回った | 現金が足りていない |
もう2つ、注意点があります。
1. DOEは配当利回りとは違います。
| 指標 | 分母 |
|---|---|
| 配当利回り | 株価 |
| DOE | 株主資本 |
配当利回りは株価で変わりますが、DOEは変わりません。投資家の受け取る利回りを表すのは、配当利回りのほうです。
2. 株主資本が減ると、同じDOEでも配当額は減ります。
大きな赤字を出して株主資本が減れば、DOE3%を維持しても配当は減ります。完全に固定されるわけではありません。
そのうえで、この指標の見どころを書きます。
会社が何を基準に配当を決めているかが分かります。
決算説明資料に「DOE3%以上を目標とする」と書いてある会社は、配当を重視する姿勢を明確にしています。 業績が悪い年も一定額を配る、という約束に近いものです。
その約束を守り続けているかを、数年分さかのぼって確かめてください。 掲げた年だけ守って、その後うやむやになっている例もあります。
関連する言葉
- 配当性向 会社が稼いだ利益のうち、何%を配当として株主に配ったかを示す割合。
- 配当利回り 今の株価で買った場合、1年でもらえる配当が何%にあたるかを示す数字。
- ROE(自己資本利益率) 株主から預かったお金を使って、1年でどれだけ利益を出せたかを示す割合。
- 減配(げんぱい) 会社が配当を前年より減らすこと。株価が大きく下がる要因になりやすい。
- 高配当株投資 配当利回りの高い株を集める手法。利回りが高い理由が株価下落なら、罠になる。
- 最終更新
- 2026-09-17