MBO
経営陣が自分の会社の株を買い取って、上場をやめること。株主には買取価格が支払われる。
ひとことで言うと
社長たちが、自分の会社の株を買い戻して株式市場から退くことです。
もう少しくわしく
MBOは Management Buyout の略です。経営陣による自社の買収を意味します。
上場している会社は、株主のものです。経営陣は毎年株主総会で説明し、四半期ごとに業績を公表し、株価を気にしながら経営します。
これをやめたい、と考える経営者がいます。理由はいくつかあります。
- 短期の業績を求められる。 5年かけて立て直したいのに、3か月ごとに数字を問われる
- 情報公開の負担が重い。 開示や監査に年間数千万円かかることもある
- 株価が安すぎる。 会社の実力より低く評価されていると感じている
そこで経営陣が投資ファンドと組み、TOBを使って市場から株を買い集めます。買い集めが終われば、会社は上場廃止となり、非上場の会社に戻ります。
IPO(新規上場)の逆と考えると分かりやすいです。
実際の数字で見る
株価1,200円の会社が、1株1,700円でMBOを発表したとします。
| 金額 | |
|---|---|
| 発表前の株価 | 1,200円 |
| 買取価格 | 1,700円 |
| プレミアム | 500円(約42%) |
100株持っていた人は12万円が17万円になります。発表翌日、株価は1,650〜1,690円あたりまで急騰します。
ここに注意
MBOには、構造的な利益相反があります。
考えてみてください。買う人と、会社の中身を一番よく知っている人が同じです。
- 経営陣は、安く買いたい
- 株主は、高く売りたい
そして経営陣は、会社の本当の価値を株主より詳しく知っています。 さらに、業績見通しの出し方によって株価に影響を与えることもできます。
そのため「業績予想を低めに出して株価を下げ、その水準を基準にMBOの価格を決めた」といった批判が起きることがあります。実際に、株主が価格の見直しを求めて裁判になった例もあります。
投資家として覚えておくべきことは、次の点です。
MBO価格は「その会社の適正な価値」ではありません。 経営陣が「この値段なら株主が応じるだろう」と判断した金額です。
そのため、MBO価格が不当に安いと株主が反発し、価格が引き上げられることがあります。発表後の株価が買取価格を上回っているときは、市場が「値上げがある」と見ている合図です。
ただしこれは読み合いであり、外れれば買取価格まで下げられて終わります。 初心者が参加する種類の取引ではありません。
なお、応じないまま保有を続けても、株式併合によって最終的には現金化されます。 上場廃止後は売買する市場そのものが無くなるため、持ち続けるという選択は実質的にありません。
関連する言葉
- TOB(株式公開買付け) 買い手が「この価格で買います」と公表して株を買い集めること。市場価格より高い値段がつくことが多い。
- 上場廃止 株式市場での売買ができなくなること。理由によって、株主が受け取れる金額はまったく違う。
- 株式併合 複数の株を1株にまとめること。株価は上がるが株数は減り、持っている価値の合計は変わらない。
- IPO(新規公開株) 会社が初めて株式市場に上場し、誰でも株を買えるようになること。
- 最終更新
- 2026-09-16