移動平均線の期間の選び方
短い線は速いがよく騙され、長い線は騙されないが遅い。どちらかを選ぶしかない。
ひとことで言うと
短い期間の線は速く反応し、長い期間の線は遅れて反応します。両方は手に入りません。
もう少しくわしく
移動平均線は、過去何日かの終値を平均した線です。その「何日か」を期間といいます。
5日・25日・75日・200日がよく使われますが、どれを使うべきかという決まりはありません。
期間を変えると、線の性格が正反対になります。
| 期間 | 反応 | 細かい上下 |
|---|---|---|
| 短い(5日) | 速い | いちいち反応する |
| 中くらい(25日) | ふつう | そこそこ拾う |
| 長い(75日) | 遅い | ほとんど無視する |
この2つは、同時には手に入りません。 平均する日数を増やせば必ず遅くなり、減らせば必ず振れます。
「速くて、しかも騙されない線」は作れません。どちらを取るかを決めるのが、期間を選ぶということです。
実際の数字で見る
上の図から、2つの数字を数えます。
1つ目は、山の位置の遅れです。
株価がいちばん高かった日を基準にして、それぞれの線の山がどれだけ後に来たかを数えます。
| 線 | 山の位置 | 株価の山からの遅れ |
|---|---|---|
| 株価 | 30日目 | — |
| 5日線 | 32日目 | 2日 |
| 25日線 | 48日目 | 18日 |
| 75日線 | 72日目 | 42日 |
75日線の山は、株価の山の42日あとに来ています。約2か月遅れです。
「75日線が下を向いたから売る」と決めていた人は、天井から2か月たってから売ることになります。
2つ目は、終値が線を抜けた回数です。
| 線 | 終値が上下に抜けた回数 |
|---|---|
| 5日線 | 32回 |
| 25日線 | 8回 |
| 75日線 | 7回 |
同じ130日ぶんの値動きです。5日線は32回も抜けています。
「線を抜けたら売買する」という決まりなら、5日線では32回の売買が発生します。25日線なら8回です。
| 期間 | 遅れ | 抜けた回数 |
|---|---|---|
| 5日線 | 2日(速い) | 32回(多い) |
| 25日線 | 18日 | 8回 |
| 75日線 | 42日(遅い) | 7回(少ない) |
表の左右がきれいに逆になっています。 これが「両方は手に入らない」ということです。
ここに注意
過去のチャートに合う期間を探すと、必ず見つかります。そして先には効きません。
これがいちばん大きな落とし穴です。
「この銘柄は27日線がよく効く」と言うことは、誰にでもできます。 1日から200日まで試せば、いちばん成績のよい数字が必ず1つあるからです。
これをカーブフィッティングといいます。過去に合わせただけの数字であり、先に効く理由がありません。
もう3つ、実際に困る点を書いておきます。
1. 5日・25日・75日に根拠はありません。
なぜこの3つが広まったのか。昔の1週間が6営業日で、25日がほぼ1か月、75日がほぼ3か月だったという説明がよくされます。
いまは週5営業日です。1か月は約20営業日ですが、25日線が使われ続けています。
つまりこれらの数字は、多くの人が見ているから意味があるという性質のものです。計算上の根拠ではありません。
2. 足を変えると、同じ数字でも意味が変わります。
日足の25日線は約1か月ぶんです。週足の25本線は約半年ぶんです。
同じ「25」でも、見ているものがまったく違います。チャートの足を確かめずに期間だけ真似しても、意味がありません。
3. 銘柄の性格で、ちょうどよい期間は変わります。
値動きの荒い銘柄では、5日線は毎日のように抜けます。動きの穏やかな銘柄では、75日線でも十分に反応します。
すべての銘柄に合う1つの期間は、ありません。
そのうえで、決め方の指針を書いておきます。
期間は、成績から選ぶのではなく、自分の保有期間から選んでください。
数年持つつもりの人が5日線を見ていても、32回の売買の合図はすべて無視すべきものです。見る意味がありません。
| 自分が持つつもりの期間 | 目安になる線 |
|---|---|
| 数週間〜数か月 | 25日線 |
| 半年〜1年 | 75日線 |
| 数年 | 週足や月足の線 |
この決め方には、過去の成績が入りません。 だからカーブフィッティングになりません。
線は判断を教えてくれる道具ではなく、自分が見たい時間の長さに目盛りを合わせるための道具です。
関連する言葉
- 移動平均線 過去一定期間の終値を平均してつないだ線。株価の方向をならして見るために使う。
- ゴールデンクロス 短期の移動平均線が長期の移動平均線を下から上に抜けること。上昇のサインとされる。
- デッドクロス 短期の移動平均線が長期の移動平均線を上から下に抜けること。下落のサインとされる。
- パーフェクトオーダー 短期・中期・長期の移動平均線が順に並んだ状態。並んだと分かるのは上げた後。
- だまし 買いや売りのサインが出たのに、直後に反対方向へ動いてしまうこと。
- 最終更新
- 2026-09-18